昨年末、よく通っていた寿司屋の大将が体を壊し、店を畳んだのだった。
酒の飲み過ぎだった。
肝臓は壊滅したわけじゃないけど移植が必要なくらいには傷んでいるそうな。
今は腹に水がたまり体力の消耗が激しいとのことで、休み休みの隠居生活が続いている。
元気だった頃は毎月1日と15日に赤飯を大量に炊き、知人に無料で振る舞ってくれ、その味が良いこともあって評判だった。
最近の吉事は、なにより大将がまた赤飯を炊き出したことだ。
料理から離れていた大将は、死んだ魚みたいな顔をして、ただ生きているという感じだった。
それがしばらくの休養期間を経て、自分の体調との付き合い方を見いだせたのだと思う。
そういえば、先日地元の酒屋を野暮用で訪れた時にも、大将が食用酒を買いに来たという話を聞いた。
料理へのこだわりは捨てていないらしいね、と酒屋の店主は言った。
それを聞いてまた嬉しかった。
大将は隠居して間もない頃、魚を持ってきたら捌いてやるよ、と力なく言っていた。
今こそは様子を見て、釣った魚を持っていくのに良い時期なのかもしれない。
できれば父とまた、釣りに行きたく思う。
昨年イマイチだったカワハギにもチャレンジしたい気持ちがある。
それではまたいつか